ブラッドリーズ・ヘッド・ロード
この辺りはずっと高級住宅街で、観光とは無縁の場所ではあるが、唯一タロンガ動物園だけがある。そのため、観光バスがここまでやって来て、沢山の観光客が動物園を訪れる。団体様でなくローカルバスでやってくる人も多く、そういう人たちは動物園を楽しんだ後、最南端の出口の目の前にある波止場からフェリーに乗ってシティまで短いクルージングを楽しんだりもする。
動物園には3回くらい行った事があるが、動物もさる事ながら景色が素晴らしい。シドニー湾と対岸にあるオペラハウスを堪能できる。きっと夜景も最高だろう、単なる動物園以上の価値があると思う。
湾岸沿いの道を走り、坂を登り動物園を超えると、ブラッドリーズ・ヘッド・ロード沿いに閑静な高級住宅地が現れる。この辺りは半島の頂でありフラットな地形となっている。海が近いという事は坂が多いのだが、フラットな部分に建てられた家は、その全貌を眺める事が出来て、いかにそれが豪邸であるかが良く分かる。
道路も庭も広く家も大きい。海と隣接したこのスペーシャスな感じは、南カリフォルニアのパロス・ヴァーデスを思い出すが、少し違う所もある。パロス・ヴァーデスはどの家も新しく綺麗だった。だがモスマンの住宅はどう見ても古い。
多分、僕が最初に住んだ築100年のような家ばかりなのかも知れない。それをリノベーションしながら住んでいるのだろう。古いものを良いとするここの人達は、やはりイギリスへの憧憬があるのだろうか。消費主義のアメリカ人はむしろ新しさを誇りたがるのだろうか、分からない。
古い豪邸ばかりで風情があると言えばそうなのだが、ホラー映画に使われそうにも見える。変な儀式が行われていてもおかしくない、見方を変えるとそんな風にも思えてしまう。
家の価格はどれも何億円〜何十億円というレベルで、普通の人には買えない。オーストラリアには相続税が無いので、裕福な家庭は持ち家を継承しやすいのだろう。銀行では共同名義の口座を持てる。僕もUさんと一つの共同名義の口座を設けた。どちらかが死んでも、それはそのままだ。だから本当に良いシステムだと思う。
タロンガ公園から真っ直ぐに伸びる道を行くと、ミリタリー・ロードに名前が変わる。そして行き止まりを左折すると、それがそのままミリタリー・ロードとしてニュートラル・ベイの商店街を貫く。行き止まりを右折すると、名前がスピット・ロードに変わり、バルモラル・ビーチやマンリー・ビーチ方面へ進む事になる。
話は逸れたが、ブラッドリーズ・ヘッド・ロードの名前がミリタリー・ロードに変わる辺りから、モスマンの商店街が始まる。ノースブリッジに住んでいた時も、セイラーズ・ベイ・ロード沿いに小さな商店街があったが、あれよりもオシャレで賑やかで店も多い。その中心にはRSLクラブという、退役軍人のためのクラブがある。ここは一般市民にも開放されており、誰でも楽しむ事が出来るクラブだ。
その近くにフィッシュ&チップスの店を見つけた。普段、そんなものを食べる気にはならないのだが、こうしてドライブしながらリラックスしていると、またトライしてみようという好奇心が湧くのだった。