ケータリングのオーダーが増えて、オリンピックが近づいた事を初めて実感した。僕は相変わらず疲れており、オリンピックに何の関心も無い。スポーツなんてどうでも良い。日本チームを応援する事も全く関心がなかった。
唯一の関心事は、毎日の仕事が問題なく終わるかどうかだけだ。スムースに作業が進み、売れ残りなく閉店できる事だけ。その他の事はどうでも良い。
「今日聖火ランナーが、ジョージ・ストリートを走るってさ」
「いつ?」
「夕方らしいよ」
どうでも良かったが、店の前を通るのであれば、ちょっとくらい見ても良いかと思った。妹はいつもなら帰宅しているはずの時間だが、居残るそうだ。僕だったら、そこまではしない。
聖火ランナーの情報は周知されていたようだ。夕方客を犠牲にしてまで、聖火ランナーなど見る意義があるのだろうかと思っていたが、心配するまでもなかった。その時間が近づくと、コンコースに人はいなくなった。みんながジョージ・ストリートまで出ているのだ。
「良かった、店を閉じるか」
シャッターの鍵をかけ、僕も親父と売り子のTちゃんと、ジョージ・ストリートの出口へ向かった。ちょうどビルとニックも、店をバリスタのアルドに任せて出てきた。
「おう、お前も行くか」
一緒に歩き出すと、すぐ先の人だかりが目に入った。ジョージ・ストリート出口の手前には、スタバの看板が見える。先日オープンしたばかりの、テイクアウェイと立ち飲み専門のスタバには客がいなかった。ビルとニックはそれを眺めながら、眉を上げ、クールな表情をしている。店の前に人だかりがあるのに、客がゼロというのが気に入ったらしい。僕はあえて何も語りかけなかった。彼らの表情で十分理解できたからだ。
夕方とはいえ、冬なので真っ暗だ。聖火ランナーを待つこの群集は、どれだけ暇なのか…僕は店のすぐ前だから寄ってやったのだ。ワザワザここまで来て、待つだけの価値があるのだろうか?僕にはその価値が見出せない。しばらく立って待っていたのだが、この時間に進められる作業の事が頭にチラつく。
「えっ、もう来るの?」
「来た?」
にわかにシティホール駅方面が、ざわつき始めた。どうやら来るらしい。拍手が湧き上がっている。拍手は瞬く間に、こちらまで繋がった。周りの人たちが興奮し出した。
僕は背伸びして、よく見届けようとした。するとテレビで見かけたのと同じ姿の聖火ランナーが、目の前を通り過ぎて行く。トーチには本当に火が灯っている。その姿を目で追いながら、みんなと一緒に拍手で送った。
「ま、こんなもんだ…」
そう思いながら、走り去った背中を見つめた。だが今まで感じなかった、何ともいえない気持ちの高揚がある。これがオリンピックのマジックか。オリンピックが始まるという実感が初めて湧いてきた。
オーストラリアは多民族国家だ。周りには中国、インド、ギリシャ、レバノンなど、パッと見ただけで色んな人達がいるのが分かる。白人だけではないのだ。彼らも母国は違えど、オーストラリアを応援している。そんな中に僕がいて、一緒になって聖火ランナーに拍手をした。
改めて自分がオーストラリアに住んで、ここに溶け込んでいる事を自覚した。今まで普通すぎて、というか店を守るのに必死で、こんなイベントでもなければ感じなかっただろう。
聖火ランナーは、あっという間に行ってしまった。ほんの二、三秒だったろうか。この二、三秒のために、遠方から駆けつけた人も、僕が感じたようなセンセーションを得たのだろうか。いや、きっとそうだろう。
この数年、感傷的な気分に耽る以外に、何の感情も湧き上がらなくなっていたのだ。普通の人なら、きっともっと盛り上がっているはずだ。
さっきまでの人だかりは、各々帰途へと散らばった。僕はビルとニックの顔を見て言った。
「良かったね」
二人とも笑顔だ。相当嬉しいに違いない。
「ついに来るぞー」
「ガンガン稼ぐからな!」
気合いが入り過ぎたニックは、右手拳で左手のひらをパンチしてしまう。
そしてジョージ・ストリートから店に向かって、ゆるいスロープを降っていく。我々三人は夢見心地だった。
東京は今日はカンカン照り、少し外へ出るだけで、干からびる寸前、という感じですが、いかがお過ごしでしょうか。
ブログのシステムを変えられてから、コメントもメールも送れなくなってしまった、と寂しく思っていたのですが、メールにコメント、のボタンがあるのをやっと発見しました。いつも見過ごしていたようです。先程アカウントを作り、久しぶりに投稿いたします。
日々、メールとブログ拝読しています。システム変更やその他もろもろ、大変でいらしたことと思いますが、貴重なお時間を割いて、ブログを続けていただけることに感謝です。
今も日々、色々なことが起こり、どう転がっていくのか、考えると不安でいっぱいになりますが、最後の最後、踏みとどまる何かが起こるに違いない、という思いもあり、今はその、自分の中の不確かな希望にすがって日々をやり過ごしている感じです。最近、ポッドキャストでお話になっている日本のルーツとイスラエルのお話、うちの夫はもう、以前からこの類の話が大嫌いで、忌み嫌っているので、コソコソ聞いています。彼とはトランプやワクチンから始まり、ウクライナから何から全てにおいて意見が合わず、あちらは私を洗脳された陰謀論者としか思っていませんし、こちらは家から一歩出たらマスク、の人と出歩くのも苦痛で、いつまでそういう環境下で暮らすのか、考えると絶望的な気持ちになります。コロナのことでそういう風になったご家庭も少なくないかも知れません。
今日は一つだけ、どうしてもお伝えしたいことがあってコメントいたします。河合さんがジャニーズ大嫌いなのは存じてますし、ジャニーがやったことはおぞましい、以外の何でもないので、肯定する気は一切ありません。ただ、この機に乗じてK-POP勢が一気に日本のジャニーズ市場を乗っ取ろうとしている動きがあります。韓国の支配者層?正体はよくわかりませんが、以前からK-POPや韓流ドラマを使って韓国男性の、まさに偶像でしかない姿を日本人に植え付け、日本の女性たちを洗脳、意のままにしようとしているようです。ゆくゆくは日本占領が彼らの夢?あるいは使命?わかりませんが、私は最悪の選択としてのK-POPとジャニーズなら、まだジャニーズの方がマシ、という立場です。日本の多くの女性は、河合さんが問題視される偶像、アイドル依存、崇拝をすぐにやめられないのは、ツイッターなどの動向を見ても明らかなので、であればまだ、今はジャニーズを残しつつ、アイドルへの憧れを揺るがすような形でやらないと、一気にK-POPに傾く可能性も高いでしょう。日本の他の事務所が出している男性アイドルは、K-POPほどのパワーもなく、そもそもアイドルは、日本であれ韓国であれ、性別を問わず、似たり寄ったりです。
ジャニーズのアイドルに河合さんが違和感を覚えられるのはよくわかりますが、韓国アイドルは更にその上を行くと言いますか、個人的にはあの、強烈な整形顔が本当に受け入れられない、気味が悪いですが…
河合さんがこれからも、できるだけ無理なくブログを続けてくださることを願っています。心から応援しています。